1209日目・・・あさましきもの・・・太宰治・・・こんな話を聞いた・・・そうだ・・・

 ・・・たばこ屋の娘で、小さく、愛くるしいのがいた。男は、この娘のために、飲酒をやめようと決心した。娘は、男のその決意を聞き、
 「うれしい」
 と呟(つぶや)いて、うつむいた。うれしそうであった。
 「僕の意志の強さを信じて呉れるね?」
 男の声も真剣であった。娘はだまって、こっくり首肯(うなず)いた。信じた様子であった。
 男の意志は強くなかった。その翌々日、すでに飲酒を為した。日暮れて、男は蹌踉(そうろう)、たばこ屋の店さきに立った。
 「すみません」
 と小声で言って、ぴょこんと頭をさげた。真実わるい、と思っていた。娘は、笑っていた。
 「こんどこそ、飲まないからね」
 「なにさ」
 娘は、無心に笑っていた。
 「かんにんして、ね」
 「だめよ、お酒飲みの真似なんかして」
 男の酔いは一時にさめた。
 「ありがとう。もう飲まない」
 「たんと、たんと、からかいなさい」
 「おや、僕は、僕は、ほんとうに飲んでいるのだよ」
 あらためて娘の瞳(ひとみ)を凝視した。
 「だって」
 娘は、濁りなき笑顔で応じた。
 「誓ったのだもの。飲むわけないわ。ここではお芝居およしなさいね」
 てんから疑って呉(く)れなかった。
 男は、キネマ俳優であった。岡田時彦さんである。先年なくなったが、じみな人であった。あんな、せつなかったこと、ございませんでした、としんみり述懐して、行儀よく紅茶を一口すすった。
 ・・・「あさましきもの」、これって、ヒトの弱さ?・・・・
 あさましい(浅ましい)
 品性が卑しい・さもしい・下劣だ・見苦しく情けない・嘆かわしい・・・古文は「驚くばかりだ・意外だ・死ぬ・亡くなる・意外なことになる・あきれるほどひどい・見苦しい。みっともない」
 ・・・現代語の「あさましい」のもとになる語。現代語では悪い意味にしか使わないが、古語では良い意味にも悪い意味にも驚きあきれたときに使う・・・
 ・・・困った・・・こまったん、なぁ〜、この説明・・・ならば、「あさましい政治屋達」って・・・素晴らしくも立派な・・・ですか・・・「蛙作(差)真(魔)詞意」・・・
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 枕草子
 (一〇二段)・・・百二段・壱百弐段
          1+0+2=3=三=参
          1×0×2=0=零

 あさま
 しき
 もの
ーー↓
 指櫛・・・「挿櫛(さしぐし)」のコト
      「手櫛(てぐし)」
       クシを使わずに手で頭髪を整えること
      「挿し櫛」
       女性が髪の飾りとして挿す櫛
       象牙・「鼈甲(べっこう)」などで
       作るのは江戸時代以後
ーー↓
 指・・・・・さす・ゆび・シ
          喩備・湯美・油火・由尾
          指=扌(手)+旨(ヒ日)
 櫛
 みがく・・・磨く・研く・視学
 ほどに、・・補度爾
 物に・・・・「モノ・者(ハ)」爾(似)
 さへて・・・作重出・差得氐(弖)
       冴えて→冫(氷)+牙(きば・ガ)
       ↓
       くっきりと澄む・はっきりと
       「冱」=冫(氷)+互→互換・相互
       ゴ・さえる
       氷のように澄みわたる
       凍る・凍える・こごえる
       源字は「冱」で、「冴」誤字による俗字
       「冱」が基本字
      「冴(コ・ゴ・さえ・さえる
        こおる・ひえる)
       氷が硬く凍て付く・凍えるように冷たい
       さえる(サユ)・氷のように澄みわたる
       コ・ゴ・さえ・さえる
           こおる・ひえる
      櫛(くし)とは氷の氷柱(つらら)に似る
      氷=凍=こおり=郡・桑折・小折
ーー↓
 折れ
 たる。
ーー↓
 車の・・・句留真之
 うち
 かへされ・・・反され・変えされ・化得差例
 たる。・・・・他留
 さる・・・・・作留
 おほの・・・・太・於補之・大野
 かなる・・・・仮名留・金留・可成
 物は、
 ところ
 せく・・・・・施句
 久しく・・・・比差詞(史)句
 など・・・・・等・名度
 や
 あらん・・・・阿蘭・和蘭・亜覧・蛙覧
 と・・・・・・徒・賭・渡・図
 こそ
 思ひ
 しか。・・・・史可・史家・詞花
ーー↓
 ただ
 夢の
 心地
 して
 あさましう
 あや・・・・文・綾・彩・彪・阿家
 なし。
ーー↓
 人の
 ために
 恥しき
 事、
 つつみ
 も
 なく、
 兒も
 大人も
 いひ
 たる。
ーー↓
 かならず
 來
 なんと
 思ふ
 人を
 待ち
 明して、
 曉がたに、
 唯
 いささか
 忘れて
 寐入り
 たるに、
 烏の
 いと
 近く
 かう
 と
 鳴くに、
 うち
 見
 あげ
 たれ
 ば、
 晝に
 なり
 たる
 いと
 あさまし。
ーー↓
 てうばみ・・・てう→ちょう
ーーーー↓
        古代の税制の一つ
        穀物以外の絹・糸・綿などの
        物品を納めるもの
        音楽の調子
        音律=「でう」
       「盤渉(ばんしき)てう」
       「黄鐘(わうじき)てう」
       「調食(てうばみ・重食)」
        てうばみの意味
         ↓
        双六(すごろく)の一
        二つのさいころを振って
        同じ目を出す遊び
        目がそろうのが「調」
        そろわないのが「半」
        博打・賭け事・ダイス
ーー↓ーーーーー↓?
    てうばみにどう取られたる
    手乳母視にドウとられたる
    出胡場視似同 採られ他留
    ちょうばみにどう取られたる
    帳  場見に如何とられたる
    帖  葉
    長  場・・・長丁場
    宿場間の距離が長いこと=「長丁場」
    長い時間の経過を要すること
ーーーー↓
 に
 どう
 取られ
 たる。
 無下に
 知らず、
 見ず、
 きかぬ
 事を、
 人の
 さし
 向ひて、
 あらが・・・・あらがう=抗う・争う・諍う
        あらそう・抵抗する・逆らう
 はす
 べく
 も
 なく
 いひ
 たる。
ーー↓
 物
 うち
 こぼし
 たるも
 あさまし。
ーー↓
 賭弓・・・・のり・・・・・海苔・糊
              乗・載
              朔・弼
              憲→憲法
              規
              矩・則・法・紀
       賭・・・かけ・ト
       弓・・・ゆみ・キュウ
 に
 わななく・・・わななく(戦慄く)
        恐怖・緊張・寒さなどのために
        身体(からだ)がふるえる
        体や手足が震える・震え動く
 わななく・・・声や楽器の音などがふるえる
        和名名句(鳴・啼・泣・泣・莫)
 久しう
 ありて
 はづし
 たる
 矢の、
 もて
 離れて
 こと・・・・・異
 かたへ・・・・
 行き
 たる。
ーーーーー
 ・・・