1027日目・・・百人一首・・・「壱百のヒトの壱のクビ」・・・「音訓同音異字」のモウソウ・・・先ず、①「三十一文字」の古語であるコトだ。そして、②物名、③折句、④沓冠、⑤文字鎖、⑥回文、⑦懸詞、⑧縁語、⑨序詞、⑩枕詞等が散りばめられており、更に⑪本歌(本家・本懸)取りと云う他人の歌の部分も重ねられている。だからこれらの言語的な「技術」をアラカジメ知らなくては「和歌」そのもの「言葉自体の意味」を理解することは難しい、と云うことである。「写実的な具象絵画」を感性的に鑑賞理解するのとはチョぉット違うのだ。そし

     「小倉百人一首」と「現存・古事記

 和歌・・・三十一(参 拾壱)文字・・百 人一首
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 話掛・・・十三 (壱 拾参)文字・・・模母人壱句備
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 倭懸・・・重纂 (位置披露)文字・・・珀尋位地取
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 輪華   揉散 委地比賂胡問字・・一白人意知種

 ・・・興味のあるかたは以下のボクの「家頁」へドウぞ・・・
http://www42.tok2.com/home/nikorao/tokepe/fanin/pura2/uta.htm
百人一首
ーーーーー
 一番歌

 秋の田の
 かりほの
 庵の
 苫をあらみ
 わが衣手は
 露にぬれつつ
ーー
 あきのたの
 かりほの
 いほのとまを
 あらみ
 わかころもては
 つゆにぬれつつ
 天智天皇
ーーーーー
 二番歌

 春過ぎて
 夏来にけらし
 白妙の
 衣干すてふ
 天の香具山
ーー
 はるすきて
 なつきにけらし
 しろたへの
 ころもほすてふ
 あまのかくやま
 持統天皇
ーーーーー
 三番歌

 あしびきの
 山鳥の尾の
 しだり尾の
 ながながし
 夜を
 ひとり
 かも
 寝む
ーー
 あしひきの
 やまとりのをの
 したりをの
 なかなかしよを
 ひとりかもねむ
 柿本人麻呂
ーーーーー

 四番歌
 田子の浦
 うち出でて
 見れば
 白妙の
 富士の
 高嶺に
 雪は降りつつ
ーー
 たこのうらに
 うちいてて
 みれは
 しろたへの
 ふしのたかねに・・・臥し・伏し・附し・節・父子・不死・賦し
 ゆきはふりつつ
 山辺赤人
ーーーーー
 五番歌
 奥山に
 紅葉踏み分け
 鳴く鹿の
 声聞く時ぞ
 秋は悲しき
ーー
 おくやまに
 もみちふみわけ
 なくしかの
 こゑきくときそ
 あきはかなしき
 猿丸大夫
ーーーーー
 六番歌

 鵲の
 渡せる
 橋に
 置く霜の
 白きを見れば
 夜ぞ
 更けにける
ーー
 かささきの
 わたせる
 はしに
 おくしもの
 しろきをみれは
 よそ
 ふけにける
 中納言家持
ーーーーー
 七番歌

 天の原
 ふりさけ
 見れば
 春日なる
 三笠の山に
 出でし
 月かも
ーー
 あまのはら
 ふりさけ
 みれは
 かすかなる
 みかさの
 やまに
 いてし
 つきかも
 安倍仲麿
ーーーーー
 八番歌

 わが庵は
 都の辰巳
 しかぞ住む
 世を
 うぢ山と
 人は
 いふなり
ーー
 わかいほは
 みやこのたつみ
 しかそすむ
 よを
 うちやまと
 ひとは
 いふなり
 喜撰法師
ーーーーー
 九番歌
 花の色は
 移りにけりな
 いたづらに
 わが身
 世にふる
 ながめせしまに
ーー
 はなのいろは
 うつりにけりな
 いたつらに
 わかみ
 よにふる
 なかめせしまに
 小野小町
ーーーーー
 十番歌

 これや
 この行くも
 帰るも
 別れては
 知るも
 知らぬも
 あふ坂の関
ーー
 これや
 このゆくも
 かへるも
 わかれては
 しるも
 しらぬも
 あふさかの
 せき
 蝉丸
ーーーーー
 十一番歌

 わたの原
 八十島
 かけて
 漕ぎ出でぬと
 人には
 告げよ
 海人の
 釣船
ーー
 わたのはら
 やそしま
 かけて
 こきいてぬと
 ひとには
 つけよ
 あまの
 つりふね
 参議篁
ーーーーー
 十二番歌

 天つ風
 雲の
 通ひ路
 吹きとぢよ
 乙女の姿
 しばし
 とどめむ
ーー
 あまつかせ
 くもの
 かよひち
 ふきとちよ
 をとめの
 すかた
 しはし
 ととめむ
 僧正遍昭
ーーーーー
 十三番歌

 筑波嶺の
 峰より
 落つる
 みなの川
 恋ぞ
 積もりて
 淵となりぬる
ーー
 つくはねの
 みねより
 おつる
 みなのかわ
 こひそ
 つもりて
 ふちとなりぬる
 陽成院
ーーーーー
 十四番歌
 陸奥
 しのぶ
 もぢずり
 たれゆえに
 乱れ
 そめ
 にし
 われ
 ならな
 くに
ーー
 みちのくの
 しのふ
 もちすり
 たれゆゑに
 みたれ
 そめ
 にし
 われ
 ならな
 くに
 河原左大臣
ーーーーー
 十五番歌

 君がため
 春の野に
 出でて
 若菜摘む
 わが衣手に
 雪は
 降りつつ
ーー
 きみかため
 はるののに
 いてて
 わかなつむ
 わかころもてに
 ゆきは
 ふりつつ
 光孝天皇
ーーーーー
 十六番歌

 立ち別れ
 いなばの
 山の
 峰に
 生ふる
 まつとし
 聞かば
 今帰り来む
ーー
 たちわかれ
 いなはの
 やまの
 みねに
 おふる
 まつとし
 きかは
 いまかへりこむ
 中納言行平
ーーーーー
 十七番歌

 ちはやぶる
 神代も
 聞かず
 竜田川
 から
 くれなゐに
 水
 くくるとは
ーー
 ちはやふる
 かみよも
 きかす
 たつたかは
 から
 くれなゐに
 みつ
 くくるとは
 在原業平朝臣
ーーーーー
 十八番歌

 住の江の
 岸に
 寄る波
 よるさへや
 夢の
 通ひ路
 人目よ
 くらむ
ーー
 すみのえの
 きしに
 よるなみ
 よるさへや
 ゆめの
 かよひち
 ひとめよ
 くらむ
 藤原敏行朝臣
ーーーーー
 十九番歌

 難波潟
 短き蘆の
 ふしの間も
 逢はで
 この世を
 過ぐして
 よとや
ーー
 なにはかた
 みしかきあしの
 ふしのまも
 あはて
 このよを
 すくして
 よとや
 伊勢
ーーーーー
 二十番歌

 わびぬれば
 今はた
 おなじ
 難波なる
 みをつくしても
 逢はむとぞ
 思ふ
ーー
 わひぬれは
 いまはた
 おなし
 なにはなる
 みをつくしても
 あはむとそ
 おもふ
 元良親王
ーーーーー
 二十一番歌

 今来むと
 いひし
 ばかりに
 長月の
 有明の月を
 待ち出で
 つるかな
ーー
 いまこむと
 いひし
 はかりに
 なかつきの
 ありあけのつきを
 まちいて
 つるかな
 素性法師
ーーーーー
 二十二番歌

 吹くからに
 秋の草木の
 しをるれば
 むべ
 山風を
 あらしと
 いふらむ
ーー
 ふくからに
 あきの
 くさきの
 しをるれは
 むへ
 やまかせを
 あらしと
 いふらむ
 文屋康秀
ーーーーー
 二十三番歌
 月見れば
 ちぢに
 ものこそ
 悲しけれ
 わが身
 ひとつの
 秋には
 あらねど
ーー
 つきみれは
 ちちに
 ものこそ
 かなしけれ
 わかみ
 ひとつの
 あきには
 あらねと
 大江千里
ーーーーー
 二十四番歌

 このたびは
 幣も
 取りあへず
 手向山
 紅葉の
 錦神の
 まにまに
ーー
 このたひは
 ぬさもとりあへす
 たむけやま
 もみちの
 にしき
 かみの
 まにまに
 菅家
ーーーーー
 二十五番歌

 名にし
 負はば
 逢う坂山の
 さねかずら
 人に
 知られで
 来る
 よしもがな
ーー
 なにし
 おはは
 あふさかやまの
 さねかつら
 ひとに
 しられて
 くるよしもかな
 三条右大臣
ーーーーー
 二十六番歌

 小倉山
 峰の紅葉
 葉心あらば
 いま
 ひとたびの
 みゆき
 待た
 なむ
ーー
 をくらやま
 みねのもみちは
 こころ
 あらは
 いま
 ひとたひの
 みゆき
 また
 なむ
 貞信公
ーーーーー
 二十七番歌

 みかの原
 わきて
 流るる
 いづみ川
 いつ見きとてか
 恋し
 かるらむ
ーー
 みかのはら
 わきて
 なかるる
 いつみかは
 いつみきとて
 かこひし
 かるらむ
 中納言兼輔
ーーーーー
 二十八番歌

 山里は
 冬ぞ
 寂しさ
 まさりける
 人目も
 草も
 かれぬと
 思へば
ーー
 やまさとは
 ふゆそ
 さびしさ
 まさりける
 ひとめも
 くさも
 かれぬと
 おもへは
 源宗于朝臣
ーーーーー
 二十九番歌

 心あてに
 折らばや
 折らむ
 初霜の
 置き
 まどはせる
 白菊の花
ーー
 こころあてに
 おらはや
 おらむ
 はつしもの
 おき
 まとはせる
 しらきくの
 はな
 凡河内躬恒
ーーーーー
 三十番歌
 有明
 つれなく
 見えし
 別れより
 暁ばかり
 憂きものは
 なし
ーー
 ありあけの
 つれなく
 みえし
 わかれより
 あかつきはかり
 うきものは
 なし
 壬生忠岑
ーーーーー
 三十一番歌

 朝ぼらけ
 有明の月と
 見るまでに
 吉野の里に
 降れる白雪
ーー
 あさほらけ
 ありあけの
 つきと
 みるまてに
 よしのの
 さとに
 ふれる
 しらゆき
 坂上是則
ーーーーー
 三十二番歌

 山川に
 風の
 かけたる
 しがらみは
 流れも
 あへぬ
 紅葉
 なり
 けり
ーー
 やまかはに
 かせの
 かけたる
 しからみは
 なかれも
 あへぬ
 もみち
 なり
 けり
 春道列樹
ーーーーー
 三十三番歌
 ひさかたの
 光のどけき
 春の日に
 しづ心なく
 花の散るらむ
ーー
 ひさかたの
 ひかりの
 とけき
 はるのひに
 しつこころなく
 はなの
 ちるらむ
 紀友則
ーーーーー
 三十四番歌

 誰をかも
 知る人にせむ
 高砂
 松も
 昔の友
 ならな
 くに
ーー
 たれをかも
 しるひとにせむ
 たかさこの
 まつも
 むかしの
 とも
 なら
 なくに
 藤原興風
ーーーーー
 三十五番歌
 人は
 いさ
 心も知らず
 ふるさとは
 花ぞ
 昔の
 香に
 匂ひける
ーー
 ひとは
 いさ
 こころも
 しらす
 ふるさとは
 はなそ
 むかしの
 かに
 にほひ
 ける
 紀貫之
ーーーーー
 三十六番歌

 夏の夜は
 まだ
 宵ながら
 明けぬるを
 雲の
 いずこに
 月宿る
 らむ
ーー
 なつのよは
 また
 よひなから
 あけぬるを
 くもの
 いつこに
 つき
 やとる
 らむ
 清原深養父
ーーーーー
 三十七番歌

 白露に
 風の
 吹き
 しく
 秋の野は
 つらぬき
 とめぬ
 玉ぞ
 散りける
ーー
 しらつゆに
 かせの
 ふき
 しく
 あきののは
 つらぬき
 とめぬ
 たまそ
 ちりける
 文屋朝康
ーーーーー
 三十八番歌

 忘らるる
 身をば
 思はず
 誓ひてし
 人の
 命の
 惜しくも
 あるかな
ーー
 わすらるる
 みをは
 おもはす
 ちかひてし
 ひとの
 いのちの
 をしくも
 あるかな
 右近
ーーーーー
 三十九番歌

 浅茅生の
 小野の
 篠原
 忍ぶれど
 あまりて
 などか
 人の
 恋しき
ーー
 あさちふの
 をのの
 しのはら
 しのふれと
 あまりて
 なとか
 ひとの
 こひしき
 参議等
ーーーーー
 四十番歌

 忍ぶれど
 色に
 出でにけり
 わが恋は
 ものや
 思ふと
 人の
 問ふまで
ーー
 しのふれと
 いろに
 いてにけり
 わかこひは
 ものや
 おもふと
 ひとの
 とふまて
 平兼盛
ーーーーー
 四十一番歌

 恋すてふ
 わが名は
 まだき
 立ちにけり
 人知れずこそ
 思ひ
 そめしか
ーー
 こひすてふ
 わかなは
 またき
 たちに
 けり
 ひと
 しれすこそ
 おもひ
 そめ
 しか
 壬生忠見
ーーーーー
 四十二番歌

 契りきな
 かたみに
 袖を
 しぼりつつ
 末の
 松山
 波越さじ
 とは
ーー
 ちきりきな
 かたみに
 そてを
 しほりつつ
 すゑの
 まつやま
 なみ
 こさし
 とは
 清原元輔
ーーーーー
 四十三番歌

 逢ひ
 見ての
 のちの心に
 くらぶれば
 昔は
 ものを
 思は
 ざり
 けり
ーー
 あひみての
 のちの
 こころに
 くらふれは
 むかしは
 ものを
 おもは
 さり
 けり
 権中納言敦忠
ーーーーー
 四十四番歌

 逢ふことの
 絶えてし
 なくは
 なかなかに
 人をも
 身をも
 恨み
 ざらまし
ーー
 あふことの
 たえてし
 なくは
 なかなかに
 ひとをも
 みをも
 うらみ
 さらまし
 中納言朝忠
ーーーーー
 四十五番歌
 あはれとも
 いふべき
 人は
 思ほえで
 身の
 いたずらに
 なりぬ
 べき
 かな
ーー
 あはれとも
 いふへき
 ひとは
 おもほえて
 みの
 いたつらに
 なりぬ
 へき
 かな
 謙徳公
ーーーーー
 四十六番歌
 由良の門を
 渡る
 舟人
 かぢを
 絶え
 ゆくへも
 知らぬ
 恋の
 みちかな
ーー
 ゆらのとを
 わたる
 ふなひと
 かちを
 たえ
 ゆくへも
 しらぬ
 こひの
 みち
 かな
 曾禰好忠
ーーーーー
 四十七番歌

 八重
 むぐら
 茂れる
 宿の
 寂しきに
 人こそ
 見えね
 秋は
 来にけり
ーー
 やへ
 むくら
 しけれる
 やとの
 さひしきに
 ひと
 こそ
 みえね
 あきは
 きにけり
 恵慶法師
ーーーーー
 四十八番歌

 風を
 いたみ
 岩打つ
 波の
 おのれのみ
 くだけて
 ものを
 思ふ
 ころ
 かな
ーー
 かせを
 いたみ
 いはうつ
 なみの
 おのれのみ
 くたけて
 ものを
 おもふ
 ころ
 かな
 源重之・・・・皆本重なる詞
ーーーーー
 四十九番歌

 御
 垣守
 衛士の
 たく火の
 夜は
 燃え
 昼は
 消えつつ
 ものを
 こそ思へ
ーー
 み
 かきもり
 ゑしの
 たくひの
 よるは
 もえ
 ひるは
 きえつつ
 ものを
 こそ
 おもへ
 大中臣能宣朝臣
ーーーーー
 五十番歌

 君が
 ため
 惜しからざりし
 命さへ
 長くも
 がなと
 思ひ
 ける
 かな
ーー
 きみか
 ため
 おしからさりし
 いのちさへ
 なか
 くも
 かなと
 おもひ
 ける
 かな
 藤原義孝
ーーーーー
 五十一番歌

 かくと
 だに
 えやは
 伊吹の
 さしも草
 さしも
 知らじな
 燃ゆる
 思ひを
ーー
 かくと
 たに
 えやは
 いふきの
 さしもくさ
 さしも
 しらしな
 もゆる
 おもひを
 藤原実方朝臣
ーーーーー
 五十二番歌
 明けぬれば
 暮るるものとは
 知りながら
 なほ
 恨めしき
 朝ぼらけ
 かな
ーー
 あけぬれは
 くるるものとは
 しりなから
 なほ
 うらめしき
 あさほらけ
 かな
 藤原道信朝臣
ーーーーー
 五十三番歌

 嘆きつつ
 ひとり
 寝る
 夜の
 明くる
 間は
 いかに
 久しき
 ものとかは
 知る
ーー
 なけきつつ
 ひとり
 ぬるよの
 あくる
 まは
 いかに
 ひさしき
 ものとかは
 しる
 右大将道綱母
ーーーーー
 五十四番歌

 忘れじの
 ゆく末までは
 かたければ
 今日を
 限りの
 命とも
 がな
ーー
 わすれしの
 ゆくすゑまては
 かたけれは
 けふを
 かきりの
 いのち
 とも
 かな
 儀同三司母
ーーーーー
 五十五番歌

 滝の音は
 絶えて
 久しく
 なりぬれど
 名こそ
 流れて
 なほ
 聞こえ
 けれ
ーー
 たきの
 おとは
 たえて
 ひさしく
 なりぬれと
 なこそ
 なかれて
 なほ
 きこえ
 けれ
 大納言公任
ーーーーー
 五十六番歌

 あらざらむ
 この世の
 ほかの
 思ひ出に
 いま
 ひとたびの
 逢ふ
 ことも
 がな
ーー
 あらさらむ
 このよの
 ほかの
 おもひてに
 いま
 ひとたひの
 あふことも
 かな
 和泉式部
ーーーーー
 五十七番歌

 めぐり逢ひて
 見しや
 それとも
 分かぬ
 間に
 雲隠れ
 にし
 夜半の
 月影
ーー
 めくりあひて
 みしや
 それとも
 わかぬまに
 くも
 かくれ
 にしよはの
 つきかけ
 紫式部
ーーーーー
 五十八番歌

 有馬山
 猪名の
 篠原
 風吹けば
 いで
 そよ
 人を
 忘れ
 やは
 する
ーー
 ありまやま
 ゐなの
 ささはら
 かせ
 ふけは
 いてそよ
 ひとを
 わすれ
 やは
 する
 大弐三位
ーーーーー
 五十九番歌

 やすらはで
 寝な
 ましものを
 さ夜
 更けて
 かたぶく
 までの
 月を
 見し
 かな
ーー
 やすらはて
 ねなましものを
 さよ
 ふけて
 かたふくまての
 つきを
 みし
 かな
 赤染衛門
ーーーーー
 六十番歌

 大江山
 いく野の
 道の
 遠ければ
 まだ
 ふみも
 見ず
 天の
 橋立
ーー
 おほえ
 やま
 いくのの
 みちの
 とほけれは
 また
 ふみも
 みす
 あまの
 はし
 たて
 小式部内侍
ーーーーー
 六十一番歌

 いにしへの
 奈良の
 都の
 八重桜
 けふ
 九重に
 匂ひぬるかな
ーー
 いにしへの
 ならの
 みやこの
 やへさくら
 けふ
 ここのへに
 にほひ
 ぬる
 かな
 伊勢大輔
ーーーーー
 六十二番歌

 夜を
 こめて
 鳥の
 そら
 音は
 はかる
 とも
 よに
 逢坂の
 関は
 許さじ
ーー
 よを
 こめて
 とりの
 そら
 ねは
 はかる
 とも
 よに
 あふさかの
 せきは
 ゆるさし
 清少納言
ーーーーー
 六十三番歌

 今は
 ただ
 思ひ
 絶え
 なむと
 ばかりを
 人づて
 ならで
 いふ
 よし
 も
 がな
ーー
 いまは
 たた
 おもひ
 たえなむと
 はかりを
 ひとつて
 ならて
 いふ
 よしも
 かな
 左京大夫道雅
ーーーーー
 六十四番歌

 朝ぼらけ
 宇治の
 川霧
 たえだえに
 あらはれわたる
 瀬々の
 網代
ーー
 あさほらけ
 うちの
 かはきり
 たえたえに
 あらはれ
 わたる
 せせの
 あしろき
 権中納言定頼
ーーーーー
 六十五番歌

 恨み
 わび
 干さぬ
 袖だに
 あるものを
 恋に
 朽ち
 なむ
 名こそ
 惜しけれ
ーー
 うらみ
 わひ
 ほさぬ
 そてたに
 あるものを
 こひに
 くち
 なむ
 な
 こそ
 をしけれ
 相模
ーーーーー
 六十六番歌

 もろともに
 あはれと
 思え
 山桜
 花より
 ほかに
 知る人も
 なし
ーー
 もろともに
 あはれと
 おもへ
 やまさくら
 はな
 より
 ほかに
 しる
 ひとも
 なし
 前大僧正行尊
ーーーーー
 六十七番歌

 春の
 夜の
 夢ばかりなる
 手枕に
 かひなく
 立たむ
 名
 こそ
 をしけれ
ーー
 はるの
 よの
 ゆめ
 はかり
 なる
 たまくらに
 かひ
 なく
 たたむ
 な
 こそ
 をし
 けれ
 周防内侍
ーーーーー
 六十八番歌

 心にも
 あらで
 憂き夜に
 長らへば
 恋
 しかるべき
 夜半の
 月
 かな
ーー
 こころにも
 あらて
 うきよに
 なからへは
 こひ
 しかる
 へき
 よはの
 つき
 かな
 三条院
ーーーーー
 六十九番歌

 嵐
 吹く
 三室の
 山の
 もみぢ葉は
 竜田の
 川の
 錦
 なり
 けり
ーー
 あらし
 ふく
 みむろの
 やまの
 もみちはは
 たつたのかはの
 にしき
 なり
 けり
 能因法師
ーーーーー
 七十番歌

 寂しさに
 宿を
 立ち
 出でて
 ながむれば
 いづくも
 同じ
 秋の
 夕暮れ
ーー
 さひしさに
 やとを
 たちいてて
 なかむれは
 いつくも
 おなし
 あきの
 ゆふくれ
 良暹法師
ーーーーー
 七十一番歌

 夕
 されば
 門田の
 稲葉
 訪れて
 蘆の
 まろ屋に
 秋風ぞ
 吹く
ーー
 ゆう
 されは
 かとたの
 いなは
 おとつれて
 あしの
 まろやに
 あきかせそ
 ふく
 大納言経信
ーーーーー
 七十二番歌

 音に
 聞く
 高師の
 浜の
 あだ波は
 かけじや
 袖の
 ぬれも
 こそ
 すれ
ーー
 おとに
 きく
 たかしの
 はまの
 あたなみは
 かけしや
 そての
 ぬれも
 こそ
 すれ
 祐子内親王紀伊
ーーーーー
 七十三番歌

 高砂
 尾の
 上の
 桜
 咲きに
 けり
 外山の
 かすみ
 立たずも
 あら
 なむ
ーー
 たかさこの
 をの
 への
 さくら
 さきに
 けり
 とやまの
 かすみ
 たたすも
 あら
 なむ
 前権中納言匡房
ーーーーー
 七十四番歌

 憂かりける
 人を
 初瀬の
 山おろしよ
 激しかれとは
 祈らぬ
 ものを
ーー
 うかりける
 ひとを
 はつせの
 やまおろしよ
 はけしかれとは
 いのらぬ
 ものを
 源俊頼朝臣
ーーーーー
 七十五番歌

 契り
 おきし
 させもが
 露を命にて
 あはれ
 今年の
 秋も
 いぬ
 めり
ーー
 ちきり
 おきし
 させもか
 つゆを
 いのちにて
 あはれ
 ことしの
 あきも
 いぬ
 めり
 藤原基俊
ーーーーー
 七十六番歌

 わたの原
 漕ぎ出でて
 見れば
 ひさかたの
 雲居に
 まがふ
 沖つ
 白波
ーー
 わたのはら
 こきいてて
 みれは
 ひさかたの
 くもゐに
 まかふ
 おきつ
 しらなみ
 法性寺入道前関白太政大臣
ーーーーー
 七十七番歌

 瀬を
 はやみ
 岩に
 せかるる
 滝川の
 われても
 末に
 逢はむ
 とぞ
 思ふ
ーー
 せを
 はやみ
 いわに
 せかるる
 たきかはの
 われても
 すゑに
 あはむ
 とそ
 おもふ
 崇徳院
ーーーーー
 七十八番歌

 淡路島
 通ふ
 千鳥の
 鳴く声に
 いく夜
 寝覚めぬ
 須磨の
 関守
ーー
 あはちしま
 かよふ
 ちとりの
 なく
 こゑに
 いくよ
 ねさめぬ
 すまの
 せきもり
 源兼昌
ーーーーー
 七十九番歌

 秋風に
 たなびく
 雲の
 たえ間より
 漏れ
 出づる
 月の
 影の
 さや
 けさ
ーー
 あきかせに
 たなひく
 くもの
 たえまより
 もれ
 いつる
 つきの
 かけの
 さや
 けさ
 左京大夫顕輔
ーーーーー
 八十番歌

 なが
 からむ
 心も
 知らず
 黒髪の
 乱れて
 けさは
 ものを
 こそ
 思へ
ーー
 なか
 からむ
 こころも
 しらす
 くろかみの
 みたれて
 けさは
 ものを
 こそ
 おもへ
 待賢門院堀河
ーーーーー
 八十一番歌

 ほととぎす
 鳴き
 つる方を
 ながむれば
 ただ
 有明
 月ぞ
 残れる
ーー
 ほとときす
 なき
 つるかたを
 なかむれは
 たた
 あり
 あけのつき
 そ
 のこれる
 後徳大寺左大臣
ーーーーー
 八十二番歌

 思ひ
 わび
 さても
 命は
 あるものを
 憂きに
 堪へぬは
 涙なり
 けり
ーー
 おもひ
 わひ
 さても
 いのちは
 あるものを
 うきに
 たへぬは
 なみた
 なり
 けり
 道因法師
ーーーーー
 八十三番歌
 世の中
 よ道こそ
 なけれ
 思ひ入る
 山の
 奥にも
 鹿ぞ
 鳴く
 なる
ーー
 よのなか
 よみち
 こそ
 なけれ
 おもひいる
 やまの
 おくにも
 しか
 そ
 なく
 なる
 皇太后宮大夫俊成
ーーーーー
 八十四番歌

 長らへば
 また
 このごろや
 しのばれむ
 憂しと
 見し
 世ぞ
 今は
 恋しき
ーー
 なからへは
 また
 この
 ころや
 しのはれむ
 うしと
 みしよそ
 いまは
 こひ
 しき
 藤原清輔朝臣
ーーーーー
 八十五番歌

 夜も
 すがら
 もの思ふ
 ころは
 明けやらぬ
 ねやの
 ひま
 さへ
 つれ
 なかり
 けり
ーー
 よも
 すから
 もの
 おもふ
 ころは
 あけやらぬ
 ねやの
 ひまさへ
 つれ
 なかり
 けり
 俊恵法師
ーーーーー
 八十六番歌

 嘆けとて
 月やは
 ものを
 思はする
 かこちが
 ほなる
 わが
 涙
 かな
ーー
 なけけとて
 つきやは
 ものを
 おもはする
 かこちか
 ほなる
 わか
 なみた
 かな
 西行法師
ーーーーー
 八十七番歌

 村雨
 露も
 まだ
 干ぬ
 まきの
 葉に
 霧立ち
 のぼる
 秋の
 夕暮
ーー
 むらさめの
 つゆも
 また
 ひぬ
 まきのはに
 きり
 たちのほる
 あきの
 ゆふ
 くれ
 寂蓮法師
ーーーーー
 八十八番歌

 難波江の
 蘆の
 かりねの
 ひとよ
 ゆゑ
 身を
 尽くしてや
 恋ひ
 わたる
 べき
ーー
 なにはえ
 あしの
 かりねの
 ひとよ
 ゆゑ
 みを
 つくしてや
 こひわたる
 へき
 皇嘉門院別当
ーーーーー
 八十九番歌

 玉の
 緒よ
 絶えなば
 絶えね
 ながらへば
 忍ぶることの
 弱りもぞする
ーー
 たまの
 をよ
 たえなは
 たえね
 なからへは
 しのふる
 ことの
 よはりも
 そ
 する
 式子内親王
ーーーーー
 九十番歌

 見せばやな
 雄島の
 海人の
 袖だにも
 濡れにぞ
 濡れし
 色は
 変はらず
ーー
 みせはやな
 をしまの
 あまの
 そてたにも
 ぬれにそ
 ぬれし
 いろは
 かはらす
 殷富門院大輔
ーーーーー
 九十一番歌

 きりぎりす
 鳴くや
 霜夜の
 さむしろに
 衣
 かたしき
 ひとり
 かも
 寝む
ーー
 きりきりす
 なくや
 しもよの
 さむしろに
 ころも
 かたしき
 ひとり
 かも
 ねむ
 後京極摂政前太政大臣
ーーーーー
 九十二番歌

 わが袖は
 潮干に
 見えぬ
 沖の
 石の
 人こそ
 知らね
 かわく
 間もなし
ーー
 わかそては
 しほひに
 みえぬ
 おきの
 いしの
 ひとこそ
 しらね
 かわく
 まも
 なし
 二条院讃岐
ーーーーー
 九十三番歌

 世の中は
 常にも
 がもな
 渚漕ぐ
 海人の
 小舟の
 綱手
 かなしも
ーー
 よのなかは
 つねにも
 かもな
 なきさこく
 あまの
 おふねの
 つなて
 かな
 しも
 鎌倉右大臣
ーーーーー
 九十四番歌

 み吉野の
 山の
 秋風
 さよ
 更けて
 ふるさと
 寒く
 衣
 打つ
 なり
ーー
 みよしのの
 やまの
 あきかせ
 さよ
 ふけて
 ふるさと
 さむく
 ころも
 うつ
 なり
 参議雅経
ーーーーー
 九十五番歌

 おほけなく
 憂き世の
 民に
 おほふ
 かな
 わが
 立つ
 杣に
 すみ
 染の
 袖
ーー
 おほけなく
 うきよの
 たみに
 おほふ
 かな
 わか
 たつ
 そまに
 すみ
 そめの
 そて
 前大僧正慈円
ーーーーー
 九十六番歌

 花
 さそふ
 嵐の
 庭の
 雪ならで
 ふりゆく
 ものは
 わが身
 なり
 けり
ーー
 はな
 さそふ
 あらしの
 にはの
 ゆきならて
 ふりゆく
 ものは
 わかみ
 なり
 けり
 入道前太政大臣
ーーーーー
 九十七番歌

 来ぬ人を
 松帆の
 浦の
 夕なぎに
 焼くや
 藻塩の
 身も
 こがれ
 つつ
ーー
 こぬひとを
 まつほの
 うらの
 ゆふなきに
 やくや
 もしほの
 みも
 こかれ
 つつ
 権中納言定家
ーーーーー
 九十八番歌

 風
 そよぐ
 楢の
 小川の
 夕暮は
 御禊ぞ
 夏の
 しるし
 なり
 ける
ーー
 かせ
 そよく
 ならの
 をかはの
 ゆふくれは
 みそきそ
 なつの
 しるし
 なり
 ける
 従二位家隆
ーーーーー
 九十九番歌

 人も
 愛し
 人も
 恨めし
 あじ
 なく
 世を
 思ふ
 ゆゑに
 もの思ふ
 身は
ーー
 ひとも
 をし
 ひとも
 うらめし
 あちき
 なく
 よを
 おもふ
 ゆゑに
 もの
 おもふ
 みは
 後鳥羽院
ーーーーー
 壱百番歌

 百敷や
 古き
 軒端の
 しのぶにも
 なほ
 余り
 ある
 昔
 なり
 けり
ーー
 ももしきや
 ふるきの
 きはの
 しのふにも
 なほ
 あまり
 ある
 むかし
 なり
 けり
 順徳院
ーーーーー