413日目・・・今夜も「世界の書物」からの抜粋・・・独身愛書家の生涯「エリア随筆」(ラム)・・・”懐かしの母親”を求めて・・・おふくろ、ゴメン、毎晩、耳モトで聴こえている・・・「オマエはどうして帰ってこないんだろうね」って・・・「エリア随筆」なんて読んだ事も聞いたこともない。紀田氏は高校時代の英語の教科書で習ったと、この本に記している・・・「焼豚談義」・・・だそうである。

naie2008-01-24


 ・・・夜明けまで待ちきれず・・・二十歳になるやならずで青春を終えた男が、齢50に近くなって、若き日の恋人と、ひょっとしたら築けたかも知れない家庭を夢見る。私にも子どもがいないので、この気持はいたいほどよくわかる。
 ・・・私がラムにひかれたのは、一つには彼が愛書家であるということ、もう一つはサラリーマン作家だという点であった。
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 ボクのコトバ・・・ヤッパ、前提的に「事情」を知らないと言うことは興味もわかないけれど・・・ボクは「紀田」氏の経歴も履歴事情も知らない。古本屋で手に入れた著者だと言うことだけである。
 ただ、「ラム」に「共感」できるところはあった。
 「二人で買おうと決心つくまで、何週間もそれを眺め、土曜日の晩のかれこれ十時になって、やっと決心がつき、そのときには、もう、手遅れではなかろうかと案じながら、あなたがイズリントンをでかけていきなすったことを・・・」
 本屋のおやじをを叩き起こして、その本を買い、家へ引きずるように持ち帰り、夜明けまで待ちきれず、二人して落丁を調べたとき・・・「貧乏も、なかなか楽しみなものではなかったでしょうかしら?」はラムの姉の「メアリー」のコトバらしい・・・
 本に限らず、だれでも、欲しい物あれば、「貧乏人」は幾度となく、その店に足を運ぶのじゃなかろうか・・・「まだある、まだ売れてない」って・・・買う金も無いのに何時かは手に入ると思っている。棚にある間は自分のモノになるのだ、と思っている・・・僕の場合は22年前ぐらいに毎日、「中古のカラー画面のノートパソコン」を覗きに行くのが日課だった・・・いつの日か、その質屋のウィンドウから姿を消していた・・・ない、無くなっている。ぁあ、とうとう、売れちまったんだぁ〜。何かを強奪されたような気分。
 古本屋を覗いて欲しい本を見つけて、その時は、ポケットには百円も無い・・・明日、あした、また来よう・・・その次の日には同じ本棚を幾ら捜しても発見できず・・・古本屋のオヤジに訊ねると「あぁ、アレは売れちまったョ」・・・「ウレタって・・・」
 ・・・つげ義春のマンガにあったョなッ・・・古本屋の美人の娘が貧乏学生の気持を察して・・・ボクはそんな娘が古本屋の奥から出てきてくれるのを妄想して、ボ〜ゥッと、つっ立っていた・・・「学生さん、気分ワルイなら、早く帰ったほうが身のタメだぞッ」って、古本屋のオヤジ・・・
 ・・・ボクはトボトボと歩きながら妄想していた・・・つげ義春の描く、どんな場面状況の設定であろうが、そこに毎回登場する「若い女性」に恋をしてしまっていた・・・だが、「現世観音堂主人」・・・にでて来る「女将」だけは思い出したくも無いのに突然、頭をヨギル・・・身震いして、我にかえるのが常だった・・・