1902日目・・・「オバちゃんの不思議(3)」・・・オバちゃんは戦中、戦後、炭鉱の選炭現場での労働者として給料を稼ぐ存在として確実に一家を支える存在となっていたが、戦後に引き上げてき、炭鉱に就職してきた元軍曹と恋愛関係になった。だが、この時、オバちゃんの母親の猛反対。だが、「GHQ」の戦後は「マッカーサー元帥」が天皇に代わる最高権威者であり、その「民主化(?)」は炭鉱で働く人々、「経営者・労働者」にも徹底され、善良なオバちゃんの意識も、元軍人(衛生軍曹)のオジちゃんの意識も、「家父長制」からは解放されて

 オバちゃん、オジちゃんは、この反対を押し切って結婚した。この結婚条件は「同じ会社での共働き」であった。オジちゃんは一人娘を抱えていた再婚者であった。戦時中、オジちゃんが南方に軍事派遣をされていた時に前妻を失っていた。帰還した時には残された娘が一人、実家は屯田開発の農家の二男、もはや「軍隊」は存在しなく、戦後、生産急ピッチの炭鉱に就職した人物であった。
 オバちゃんの母親は死ぬまで、その結婚を頑固に許さず、オバちゃんが出ていった後も、残った者を気丈夫に、夫を含めて養っていた。
 オジちゃんは元軍曹で、「石部金吉」と綽名されるほどの遵法厳守の固物で、仕事現場でも、家計簿の数字のチェックでも煩かった。その上で、オジちゃんはオバちゃんの実家状況を踏まえ、一家の主となった「オバちゃんの弟」とは、その結婚の条件として実家への、残った妹たち二人の面倒も含め、その弟を通して金銭援助をしていた。
 オジちゃんはその約束通りにオバちゃんの給料も含めた一家の財政支出としてオバちゃんの実家援助をしていた。
 そして、オバちゃんも自分の稼いだ自由になる金を実家にコッソリと渡していた・・・。
 問題が起こったのは会社側の「炭鉱女性労働者の首切り」である。戦中、そして戦後初期の炭鉱労働者の選炭現場の担い手は「女性労働」だった。だが、海外からの、満州、朝鮮、そして、兵隊の引揚者が急増し、経営者側は「男性労働者」を雇うコトを優先し、労働力は過剰となり、「女性労働者」は解雇の対象となったのだ。とりわけ、炭鉱で共働きをしている「女性労働者」が対象となった。夫の給料、出世を前提に、配偶者である「妻」の解雇である。従来の同じ会社での夫婦での共稼ぎは避けられ、女性は家庭の主婦として納まれ、であった・・・
 オバちゃんは元々が働き者で、働くこと自体が人生と思っていた人物である・・・他人の世話で生きていきたくない、は、オバちゃんの「哲学」で、それは彼女の母親がグウダラな夫を養っていく「哲学」にも重なるモノでもあったが、その母親は娘たちを働かすコトには無頓着で、息子たちを大切にした。事実、息子たちは病弱で、養子から出戻った弟以外は早世していた・・・
 オバちゃんは「無職」になって収入は無し・・・オバちゃんの思想からは耐えられない毎日が続くコトになる。しかも、少しは自分の「自由?」になっていたオカネはマッたく使用できなくなった。そもそも、オバちゃんに取っては「結婚」後も、自らの収入があり、夫、他人の世話にはならない「自立出来るコト」であり、「外で仕事し、自分の収入の無い生活」は耐えられなかったのだ・・・
 女性の生活での苦労体験は「自立」を目指さざるを得ない・・・この「自立」とは自分自身の「収入源」としての仕事である。結婚は旦那の健康や、安全を保障しない・・・
 そんなオバちゃんは農繁期、刈り入れ時には「農家の仕事」を見つけては出稼ぎに行った。当然、オジちゃんは、そんなオバちゃんを面白くない。オジちゃんには「男のプライド」があった・・・
 オバちゃんのオジちゃんへの「不満」は頑なな「石部金吉」と、「遵法」、そして、その「善良さ」・・・
 そんなオバちゃんを観ていて、オジちゃんは家からかなりの距離がある三角山の空間を借りて畑を造り、スイカやカボチャ、イモ、トウキビ、大根などを植えるコトをオバちゃんに提案した・・・家の前の空き地にはトマトとナスビを植えていた畑があったが、オバちゃんはオジちゃんの提案を受け、山の畑を耕し、肥やしを運び、種を播き、カラス除けの案山子を立て、キツネ除けの縄を張り、その管理と収穫に多忙な毎日を過ごすようになった。
 モチロン、オジちゃんも会社の休日にはオバちゃんと一緒、家族と一緒、ボクは小さい身体をオバちゃんの背負い駕籠に入れられて山に運ばれ、その時間を過ごしていた。麓の川の橋を渡るときには「お前は蜜柑箱に入れられ、この橋の下に捨てられていたんだ」と毎回聞かされた。
 ボクは冬のある日、オバちゃんが秋に収穫したトウモロコシ(玉蜀黍=唐黍=トウキビ)の乾燥させたものを「どん」と云うお菓子にしてくれる所に連れて行ってくれのが楽しみだった。その場所は町の駅の近くにあって、鉄の釜にトウキビを入れ、加熱、圧縮し、爆発音を伴って、堅い皮の殻(殼)を破裂させ、柔らかく膨らんで出来るものだった。その爆発音から皆は「ドン」と呼んでいた。オバちゃんはその一瞬の轟音でボクの驚く顔と、彼女に抱きついてくるのを期待していた・・・ボクは期待を裏切らなかった。年を重ね、爆発音には慣れてしまっていても、そこに行き、爆発の「ドン」が鳴る時にはオバちゃんに抱きついては、抱きあげられ、頬擦りされるのが慣例していた・・・あまり食べ過ぎて母親の前で吐き、オバちゃんは随分と妹であるボクの母親に責められていた。「ネエさん、この子にあまり変なものを食べさせないでョ」だった・・・だが、ボクはオバちゃんが大好き人間・・・幼いころ、オバちゃんとは添い寝することは日常化していたが、モノごころがついても、衛生、清潔であるコトを信条とし、看護婦を職業としていた母親との添い寝の記憶はない・・・
 で、山の斜面のオバちゃんの畑はかなりの大きさで伐り拡げられ、「郭公」が鳴く林の中に存在していた。「啄木鳥」が居たかどうかの記憶はない・・・カラス(鴉・烏)も、トンビ(鳶)、タカ(鷹)も、フクロウ(梟)も、ウサギ(兎)も、へび(蛇)も観た記憶はあるが・・・クマ(熊・羆=ひぐま)は噂に聞いたコトがあるが、みたことはなかった・・・で、
 「啄木鳥(きつつき・タクボクチョウ)」の
 「啄(ついばむ・タク・ツク)」
 は
 「喙(くちばし・カイ・ガイ・ケ)」
 に類字する。だが「彑」が無い。「鶍=いすか=交喙(コウカイ・コウガイ・コウケ)」・・・「イスカのクイちがい」とは?・・・
 「石川啄木」に訊いてみたい・・・
  ↓↑
 「石川啄木
  1886年
  明治十九年二月二十日?or1885年十月二十八日?
   〜
  1912年
  明治四十五年)四月十三日
  岩手県岩手郡
  日戸村生まれ
  本名は
  石川一(いしかわ はじめ)
  1903年
  明治三十六年
  短歌の会(白羊会)を結成・・・
  十一月
  新詩社同人
  十二月
  啄木名で
  『明星』に
  長詩(愁調)を掲載
  ↓↑  
 「地図(チズ)の・・・・・・輿
  上(ジョウ)・・・・・・・聶・襄・定
  朝鮮(チョウセン)・・・・挑戦・兆選
  国(コク)に・・・・・・・酷・剋・刻・哭
  黒々(コクコク)と・・・・刻々・玄々
  墨(ボク)を・・・・・・・僕・撲・睦・北・朴・卜
  塗(ト)りつつ・・・・・・訳・徒・屠・渡・賭
  秋風(シュウフウ)を・・「安芸・安岐・亜紀」
               楓・諷
  聴(チョウ)く」・・・・・長・重・調・喋
  ↓↑
 「東海(トウカイ)の
  小島(ショウトウ・・・・・証等・章等
     小嶋・小嶌)の・・・相の揣摩
  磯(キ・ケ)の・・・・・・記・紀
               卦・懸・毛・化・華
  白砂(ハクサ・ビャクサ)に・・・葉句差(作・佐・詐)
  我(ガ)れ・・・・・・・・画・雅・賀・瓦・牙・臥・芽
  泣(キュウ)き・・・・・・求・究・舊・及
  濡(ジュ・ニュウ)れて・・塗れて
               訟・呪・儒・受・誦
  蟹(カイ・ゲ)と・・・・・改・歌意・甲斐・戎・下意
               解・外・訝・毛・夏・気
  戯(ギ・ゲ・戲)むる」・・技・伎・枝・犠
               義・祇・祁
               偽・疑・宜
 ・・・???・・・本来、「啄木」の「豕」には「豕の彡の中」に「ヽ」があるのが本字であるらしい・・・
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 旧約聖書
 約伯 記
 ヨブ・・・「与分・余部」記
   ・・・・呼ぶ記(紀)
第28章
28:1
 しろがねには
 掘り出す
 穴があり、
 精錬する
 こがねには
 出どころがある。
28:2
 くろがねは
 土から取り、
 あかがねは
 石から
 溶かして取る。
28:3
 人は
 暗やみを破り、
 いや
 はてまでも
 尋ね
 きわめて、
 暗やみ
 および
 暗黒の中から
 鉱石を取る。・・・・山師=鉱山採掘調査の専門家
           一山(鉱脈)を当てれば
           大儲けの賭博師、博打人
28:4
 彼らは
 人の住む所を
 離れて
 縦穴をうがち、
 道行く人に
 忘れられ、
 人を離れて
 身をつりさげ、
 揺れ動く。
28:5
 地は
 そこから食物を出す。
 その下は
 火で
 くつがえされるように
 くつがえる。
28:6
 その石は
 サファイヤ(Sapphire)・・・蒼玉・青玉
 のある所、
 そこには
 また
 金塊(キンカイ)がある。
28:7
 その道は
 猛禽(モウキン)も
 知らず、
 たかの目も
 これを見ず、
28:8
 猛獣(モウジュウ)も
 これを踏まず、
 しし(獅子)
 も
 これを
 通らなかった。
28:9
 人は
 堅い岩に
 手をくだして、
 山を
 根元(こんもと・コンゲン)から
 くつがえす。
28:10
 彼は
 岩に
 坑道(コウドウ)を
 掘り、
 その目は
 もろもろの
 尊い物を見る。
28:11
 彼は
 水路を
 ふさいで、
 漏れないようにし、
 隠れた物を
 光に取り出す。
28:12
 しかし
 知恵(ちえ・チケイ)は
 どこに
 見いだされるか。
 悟(さと・ゴ)り
 のある所はどこか。
28:13
 人は
 そこに至る道を知らない、
 また
 生ける者の地で
 それを
 獲(と・カク)ることができない。
28:14
 淵(ふち・エン・潭)
 は言う、
 『それは
  わたしのうちに
  ない』
 と。
 また
 海
 は言う、
 『わたしの
  もとに
  ない』
 と。
28:15
 精金(セイキン・ショウキン)も
 これと換えることはできない。
 銀(しろがね・ギン)も
 量(はか・リョウ)って
 その価(あたえ・カ)と
 することはできない。
28:16
 オフル・・・・地名・・・於附留
        ↓   緒符(附)留→下駄
        尾古(おこ)=鳥取県の大山の麓
        ↓      鳥取県西伯郡大山町羽田井
        尾振る→尾張
        ↓
        列王紀上、3回
        歴代志上、1回
        歴代志下、2回
        ヨブ記、2回
        詩篇、1回
        イザヤ書1回
        合計・・・・10回・・・?
 の
 金をもってしても、
 その価を量ることはできない。
 尊(とおと・みこと・ソン)い
 縞(しま)めのう(瑪瑙)も、
 サファイヤも
 同様である。
28:17
 こがね(黄金)も、・・・故金・古金・小金
 玻璃(ハリ・硝子=ガラス)も
 これに
 並ぶことができない。
 また
 精金の
 器物(キブツ)も
 これと
 換(か・カン)えることが
 できない。
28:18
 さんご(珊瑚)も・・・・纂語・産後・三語
             山後
 水晶(スイショウ)も・・・推奨・推称・推賞
              水将
 言うに足りない。
 知恵(ちえ・チケイ)を
 得るのは
 真珠(シンジュ)を
 得るのに
 まさる。
28:19
 エチオピヤ・・・・・越智阿・皮亜・越日於比亜
           埃提阿百・埃西阿比亜・埃塞俄比亜
           以剔阿比亜・越尾比亜・越尾比屋
           越智阿皮亜・埃提阿百
           アビシニア(エチオピア別称)
           阿比西尼・阿比西尼阿・亜比西
 の
 トパズ(topaz)・・・黄玉
           高木勘兵衛が
           美濃国岐阜県
           恵那郡
           苗木山で
          「細くして糸のごとき」鉱石を発見
 も
 これに
 並ぶことができない。
 純金(ジュンキン)をもってしても、
 その価を
 量ることはできない。
28:20
 それでは
 知恵は
 どこから来るか。
 悟りのある所は
 どこか。
28:21
 これは
 すべての
 生き物の目に
 隠され、
 空の鳥にも
 隠されている。
28:22
 滅び
 も
 死
 も言う、
 『われわれは
  その
  うわさ(噂)を・・・・宇和作
  耳に
  聞いただけだ』。
28:23
 神は
 これに至る道を
 悟っておられる、
 彼は
 そのある所を知っておられる。
28:24
 彼は
 地の果までも
 みそなわし、
 天が下を
 見きわめられるからだ。
28:25
 彼が
 風に重さを与え、
 水を
 ます(枡・桝・升・舛)・・・鱒
 で量られたとき、
28:26
 彼が
 雨のために
 規定を設け、
 雷のひらめきのために
 道を設けられたとき、
28:27
 彼は
 知恵を見て、
 これを
 あらわし、
 これを
 確かめ、
 これを
 きわめられた。
28:28
 そして
 人に言われた、
 『見よ、
  主を恐れることは
  知恵である、
  悪を離れることは
  悟りである』
 と」。
ーーーーー
 ・・・鉱物学(mineralogy)のお披露目か・・・山師はヤマに登る・・・