196日目・・・『熱い国』の行方・・・”シバ・ナイポールの小説を中心に・青木保(大坂大学教授)・「一、アイデンティティとアムネシア」”・・・
”『熱い国』の行方・・・シバ・ナイポールの小説を中心に・青木保(大坂大学教授)”は、「二十世紀の遺産・文芸春秋・昭和60年11月15日発行」におさめられていた「文章」である・・・
「フリー百科事典『ウィキペディア』」によれば、
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アイデンティティー(Identity)
同一性
心理学でいう 自己同一性。
共同体(地域・組織・集団など)への帰属意識。
例として、
コーポレートアイデンティティ、
アイデンティティ政治など。
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アムネシア
am・ne・sia [mn:]
AMNESIA・・・ n. 【医】記憶喪失症, 健忘症.
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以下、ボクが青木教授の記録から抜粋要約したモノです。
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「アムネシア」・・・近代国民国家の形成に際して、重要な役割を果たしたのは、「アムネシア」である。
人や集団が彼等の過去や伝統の記憶を”喪失”することが近代国家形成の条件である。
近代国家は、それに属する”成員=国民”の無名性によって形成される。
諸民族や諸文化がその過去を忘れないと、統合された国民国家は存在し得ない。
(エルンスト・ルナン)
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ナルホド、ザ、ワールドですナッ。
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新国家に於けるナショナリズムの形成過程
(クリフォード・ギアツ)
1)文化的、民族的に、また地域や言語の上で互いに異なる「自己確認」と「社会的忠誠」を持つ人びとの集まりでしかない状態を、一つの国民性からなる政治的統合体にまとめ上げようとする段階。
2)反植民地闘争を媒介に個々のそうした集団間差異性は曖昧にされて、この統合を達成しようと向っていく段階。
3)植民地主義との戦いが、「集合的一致」を可能にし、新しい「国家的」アイデンティティが独立によって推進されると思われる段階。互いに伝統的には異なり合ってきた民族や集団が彼等自身のそれまでのあり方に対する見方を変えて、より高次の統合に自由の可能性を見出す。国家意識の目覚めと言われる段階で、ナショナリストが国家を建設し、その国家が国民のタメの政府をつくり、国家統合をさせると考えられている。
4)独立を達成して一つの国家が出来た段階。ここではナショナリストの仕事は大きく変わらざるを得ない。攻撃すべき植民地主義者はいなくなり、外国支配は一応終わった。そこで国家を運営するための主体の確立が要請される。
統合の中心となるのは誰なのか。新しい”われわれ”を決め、国家権力がスムーズに発動されるための国民性のあり方が模索される。
「新国家」として独立はしたが、「国家」は第四段階から逆戻り現象を示している・・・云々・・・状況は混沌である。
「国家統合」が分解され、再び小単位の社会集団や民族や宗教などに細分化されて、国家と言う上位概念による理念的統一や利益追及が出来なくなる状況を一方にみながら、さまざまなレベルで達成しようとされた近代化のプロセスが、中途半端な技術革新と産業化と異常な都市化現象を生み出し、新たな社会不安と社会矛盾を与えている。
ナショナリズムは、上位レベルの統合から、個々の民族集団や地域集団に再分割されてしまう。もはやナショナリズムとは言えず、また「国家」とも言えなくなるわけであって、「近代国家」の建設そのものがひとつの幻影でしかなかったとも言える・・・
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ナショナリズムとは「信念」である。
1)民族に属する事の第一義
2)民族を構成するあらゆる要素が有機的関連にあり
3)それがわれわれのものであるが故にわれわれの自身の価値であり
4)何よりも優先すべき至上の権威であり忠誠の対象である、「信念」である
(アイザイア・バーリン)
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で、ボクが問題にしたいコトは・・・「信念」の「中身」である。
キミやアンタの「信念」とはナニ?って、サッ・・・
・・・「アムネシア」、「アイデンティティ」、「ナショナリズム」なんて難しいコト言わないでサッ、単純なコトバ・・・
殺すな・・・・殺す人をなくす
盗むな・・・・盗む人をなくす
嘘つくな・・・嘘をつく人をなくす
差別するな・・差別する人をなくす
を「信念」にするコトって・・・難しい、のッ?