五拾弐日目デス・・・「夜と霧」・・・アッチコッチと捜し、引っ張り出してきてマタ読んでみた。「フランクル著作集(1)・夜と霧・霜山徳爾訳・(株)みすず書房・1961年3月5日発行」・・・

 ・・・むかし、大島渚の「日本の夜と霧」と言う映画があった。「18歳未満は入場禁止」だった。五味川純平の原作、「人間の条件」と言う映画もあったけれど、ヤッパリ「18歳未満は入場禁止」だった。だけれど、中学校の図書館ではその本が購入されて「推薦図書」だったから生徒会では「入場禁止映画」の原作が何故「推薦図書」なのか「問題」になったコトがある。
 
 「夜と霧」・・・まったく楽しい本ではない。信じられない、信じることができない、信じたくない・・・この「本の内容」を・・・でも、六十年前の「事実」である。
 ボクは「戦争体験」の無い年代・・・ボクの父方の伯父さんは長男で、「関東軍」に徴兵された「一兵卒」。シベリアに抑留され、日本に帰還。ボクの母方の伯父さんは次男で、「ビルマ戦線」の「衛生兵」で「軍曹」だった。「一兵卒」だった伯父さんは「敵国の軍隊」との戦闘よりも、「日本軍、軍隊内部の恐ろしさ」を、「衛生兵」だった伯父さんは「軍隊生活は性にあってイタ」とハナシてくれた。戦争体験には二人とも口が固く、無口だったが、かなりの80歳も過ぎてからのハナシだったが、ポッリ、ポッリと・・・「軍隊内部の体験の悲惨なハナシ」、「占領地の現地人に対する凄惨、無慈悲なハナシ」を・・・「人間」が存在し得ない世界・・・二人の伯父さんは既に無くなってしまっているのだが・・・
 司馬遼太郎って言う作家の「功名が辻」・・・日曜日の某TV番組・・・確かに「時代的な状況と制約」はアレ・・・「女房の内助」が「人殺しで出世の夫」の「功名を願わざるを得ない」・・・確かに「迷うのが人間」で、状況によって「鬼畜になるのも人間」・・・
 その番組前のTVでは大空を飛びマワる「イヌ鷲」の「ボロミ(♀)」と「小天狗(♂)」の子供「大五郎」の野生で逞しく生きる姿には「感動」するが・・・あの「狩りの場面」は「功名が辻」にも、かっての「大日本帝国軍隊」にも、「ナチス」にも、「ソ連の東欧諸国・アフガン蹂躙」にも、「フランスのアルジェ」にも、「ユーゴ崩壊・コソボ空爆」にも、「ベトナムイラク米軍」にも、「北朝鮮」にも「中国天安門」にも・・・重なる・・・のだが・・・「イヌワシ」とも「コンドル」とも、サバンナの「野獣」とも違う「人間」とは・・・